有栖川有栖作品は、
- 学生アリスシリーズ
- 作家アリスシリーズ
- ソラシリーズ
- 濱地健三郎シリーズ
などがある。学生アリスシリーズ(江神シリーズ)は、江神二郎が探偵役として、作家アリスシリーズ(火村シリーズ)は、火村英生が探偵役として登場しいずれも探偵の助手役で有栖川有栖が登場する。
学生アリスシリーズでは、『読者への挑戦』として謎解きの機会が挿入されておりミステリー好きには楽しい作品が多い。
今回は、学生アリスシリーズから3冊、作家アリスシリーズから2冊をおすすめ順にご紹介します。
双頭の悪魔(学生アリスシリーズ:江神シリーズ)
代表作といえる『双頭の悪魔』は、学生アリスシリーズの長編第3作目で、1992年の「週刊文春ミステリーベスト10」で4位、1993年の「このミステリーがすごい! 」で6位に入った作品である。
学生アリスシリーズで用いられている『読者への挑戦』は、アメリカの推理小説家エラリー・クイーンの影響をうけたもので、『双頭の悪魔』では3回も登場する。
学生アリスシリーズでは、ほとんどがクローズド・サークル物として描かれており、本作も独特のクローズド・サークルが採用されている。
あらすじ
家出した娘のマリアを連れ戻してほしいという依頼をマリアの父親から受けた英都大学推理小説研究会のメンバーたちは、木更村へ向かうが村民との間の誤解により村を追い出される。しかたなく、隣村の夏森村へ滞在することになる。しかし、木更村と夏森村を結ぶ橋が鉄砲水で流され、さらに夏森村へ繋がる公道も土砂崩れで村は分断されてしまう。そこで木更村と夏森村で殺人事件がおこる。
孤島パズル (学生アリスシリーズ:江神シリーズ)
有馬麻里亜(マリア)との出会い編となる長編第2作目である『孤島のパズル』も嵐で陸と断絶された孤島が舞台のクローズド・サークル物。また、エラリー・クイーンにならった『読者への挑戦』も挿入されている。
あらすじ
新たに英都大学推理小説研究会のメンバーとなったマリアは、マリアの祖父が残した時価5億円相当のダイヤモンドが眠るという『嘉敷島』に江神とアリスを誘う。ダイヤモンドは、宝の地図とマリアの祖父の残した遺言書に書かれた「進化するパズルを解いたものがダイヤモンドの相続人となる」という言葉に隠されていた。3人は、その島にあるマリアの叔父の別荘『望楼荘』へ謎解きバカンスへ向かった。しかし、マリアの親戚らがつぎつぎとライフルで射殺されていく。嵐で絶海の孤島と化した 『嘉敷島』 で事件の謎を追う。
月光ゲーム (学生アリスシリーズ:江神シリーズ)
有栖川有栖のデビュー作である『月光ゲーム』もまた、 エラリー・クイーンにならった『読者への挑戦』 が挿入されている。そして火山の噴火で陸の孤島とかしたキャンプ場が舞台のクローズド・サークル物だ。
あらすじ
夏の合宿で、矢吹山のキャンプ場へ向かった英都大学推理小説研究会のメンバーだったが、矢吹山の噴火で孤立してしまう。同じく孤立した三つのグループの学生たちと事件に巻き込まれていく。月光の下、現れた殺人鬼は、Yという謎を残しつぎつぎとキャンプのメンバーを殺害していく。
鍵の掛かった男(作家アリスシリーズ:火村シリーズ)
犯罪学者、火村教授が探偵役で助手が推理小説家となったアリス。そしてアリスの視点で語られるストーリーである。作家アリスシリーズでは、国名が題名に使われる作品を『国名シリーズ』が含まれる。
あらすじ
あるホテルのスイートで暮らす男が死んだ。警察は、自殺と判断するが同ホテルに滞在していた作家の影浦は疑問に思う。2億円の預金があり、周囲からも愛されていたはずの男の死、自殺とは思えず、火村とアリスに調査を依頼する。しかし、その死んだ男の人生はまるで鍵がかけらているような闇だった。謎が解けたとき悲劇のラストが迎える。
スイス時計の謎 (作家アリスシリーズ:国名シリーズ)
国名シリーズの7作目となる『スイス時計の謎』は、他3篇を含む短編集である。
収録作品
- あるYの悲劇
- 女彫刻家の首
- シャイロックの密室
- スイス時計の謎
あらすじ
火村に呼び出されたアリスが現場で見たのは、後頭部を殴られ殺害された高校時代の同級生の村越だった。村越は、高校のサークル『社会思想研究会』の同窓会に出席予定だった。 村越の腕からは、そのサークルメンバーがお揃いでつけているというスイス製の腕時計「ディプテロス」が消失していた。その腕時計を手掛かりに犯人を推理していく。